「目標」と「目的」は日常でもよく使う言葉ですが、意味の違いを知っていますか?
一見似ているこの2つの言葉は、それぞれ異なる意味を持つ単語ですが、混同して使っている人も少なくありません。
普段の会話の中ではあまり意識する必要はないかもしれませんが、主にビジネスシーンで目的や目標を立てる場合は、2つの違いを理解し、正しい意味で使うことが重要になってきます。
今回は、「目標」と「目的」の違いから、ビジネスにおける「目標」にフォーカスし、目標設定のメリットや設定方法についても詳しくお伝えします。
目的とは
目的とは、字の通り「目」で見える「的」のことであり、最終的に目指す到達点、成し遂げたいゴールを指しています。
個人でいう目的といえば、「こういう姿になりたい」や「将来こんな人になる」などの夢や理想の姿のことを指します。
そして、ビジネスシーンにおいての目的とは「昨年よりも業績を上げる」や「社会に貢献する存在になる」などの将来の企業戦略や企業の経営ビジョンが該当します。
目標とは
目標とは、目的というゴールを達成するために設定される小さな指標を指します。
目的とは目指す到達点だと説明しましたが、そこに到達する過程に立てられるものが「目標」なのです。
「目標」は、「目的」を実現させるためにどのようにしていくのか、その過程を具体的に設定していくことであり、ビジネスシーンでは、業務内容そのものに関わってきます。
目的と目標の違い
「最終的に成し遂げたい理想像」を指すのが目的に対し、「目的を達成するまでの過程に立てられる指標のこと」が目標です。
例えば、「健康的な生活を送りたい」という目的がある場合、そのために「毎日30分以上の運動をする」とか「7時間以上の睡眠時間を確保する」というのが目標です。
ビジネスの観点でいうと、企業であれば、「自社のサービスでお客様を喜ばせる」という目的がある場合、そのために「他社にないサービス体制を整える」「お客様の声を聞く機会を増やす」といったものが目標の一例として挙げられるでしょう。
このように、目的は1つに定めて、抽象的、長期的であるのに対し、目標は複数ある場合もあり、具体的で短期的に設定されるという違いもあります。
目標設定のメリット
では、ビジネスや仕事の場面において、目標設定をするとどんな良いことがあるのでしょうか。
目標を設定することで、次のようなメリットが期待できます。
- やるべきことが明確になる
- 達成感が得られる
- モチベーションが維持できる
- 前向きな思考になる
- 将来の夢やビジョンを持ちやすくなる
それぞれについて解説していきます。
やるべきことが明確になる
組織において、目指すべき目的に対して具体的な目標があると、一人ひとりのやるべきことが明確になります。
仕事の進め方やトラブルに対してもどのような行動を取るべきかが、はっきりと見えてくることでしょう。
具体的な目標を示すことで、方向性がわからず自ら行動しない状態を防げることもメリットです。
達成感が得られる
ただ漠然と仕事をするよりも、明確な目標設定がある方が、自分の働きによって成果を実感しやすくなります。
個人のモチベーションが高まり、目標を成し遂げたことによる達成感を得られることもメリットです。
目標に対する成功体験を繰り返すことで、高いモチベーションで仕事に向き合えるようになるでしょう。
モチベーションが維持できる
目標が決まっていなかったり不明確だったりすると、なんとなく仕事をやらされていると感じてしまい、仕事へのモチベーションを高めることができません。
しかし、目標設定をすることで、明確な目標があり自らの働きによる成果がわかりやすければ、モチベーションが上がり、自発的に行動出来るようになります。
前向きな思考になる
具体的な目標があれば、そのプロセスをこなすことで理想の姿(目的達成)に近づいていることを実感しながら仕事を進められます。
目標達成するまでの過程で試行錯誤を繰り返すことで、新たなスキルや知識、経験が得られるでしょう。
自分の仕事に自信を持つことができれば、ポジティブな気持ちで仕事に取り組むことができます。
将来の夢やビジョンが持ちやすくなる
常に具体的な目標を意識しながら仕事をしていると、明確なゴールを意識しながら仕事をする習慣ができます。
その過程でいくつもの成功体験を繰り返すことで、目標を単なる夢物語と考えることなく、明確なビジョンとしてイメージできるようになるでしょう。
目標設定のやり方が身に付けば、自分のライフプランやキャリアプランを考える上でも役立ちます。
目標達成に向けて活用したいフレームワーク
目的を実現するためには目標設定が重要で、設定したからには達成していきたいですよね。
そこで、目標達成に向けて活用したいフレームワークを3つご紹介します。
マンダラチャート
マンダラチャートとは、縦横に区切ったマスを用意して、内容を記入していくフレームワークで、野球の大谷翔平選手が実践したことがある方法としても、広く知られることとなりました。
マンダラチャートは、1979年に経営コンサルティングを行うクローバ経営研究所の松村寧雄氏によって開発されました。名前の由来は仏教の「曼荼羅」で、目標や課題などを視覚的に表現できる点が特徴的です。
マンダラチャートの作り方は、まず、縦横3×3の計9マスを用意し、中心となる1マスに目標、その周囲8マスにそれを達成するために必要な要素を書き込んでいきます。
さらに外側に大項目を細分化した具体的なアクションを記載していきます。
このチャートは、目標設定や現状分析などあらゆる目的で活用することができ、達成に向けて必要な要素を洗い出す際に役立ちます。
SMARTの法則
SMARTの法則とは、目標設定の基本ルールの1つです。SMARTは下記の頭文字をとっており、これらを意識すると適切な目標を立てやすくなります。
- Specific(明確性・具体性)
具体的でわかりやすいこと。 - Measurable(計量性)
効率的で有効性の高い目標管理を実施するためには、計測できる目標であること。 - Achievable(達成可能性)
非現実な目標を設定してしまうとうまくいかないので、達成可能な目標であること。 - Relevant(関連性・適切さ)
目標の先にある目的との関連性を明確にすること。 - Time-bound(期限)
モチベーションを維持して取り組むためにも、期限を明確に設定することが大切。
目標が高すぎたり低すぎたりすれば、高いモチベーションで達成を目指しにくくなります。
適切な目標設定はモチベーションの維持、ひいては目標・目的達成につながるので、SMARTの法則も活用しながら、具体的で進捗確認がしやすい目標設定をしていきましょう。
5W1H
5W1Hは、幅広いビジネスシーンで活用できるフレームワークです。
When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)を意識することで、コミュニケーションや業務遂行が円滑になります。
この5W1Hを意識すれば、具体的かつ細かな目標を立てやすいため、適宜活用してみましょう。
目的を明確にして理想の姿に近づこう
目的をはっきりさせ、目標を立てて行動すれば、それだけ成し遂げたいことを実現しやすくなります。
目的と目標の違いを踏まえた上で、「こんなことを成し遂げたい」「こんな風になりたい」など、目的を明確化するところから始めてみましょう。
「目標達成」に関するおすすめ書籍
目的ドリブンの思考法
デロイトトーマツで上位数パーセントの人材に限られる、最高評価を4年連続で獲得した気鋭の戦略コンサルタントが教える!
「不確実な時代」に望む成果を得るための、あらゆる業界・職種に通じる、目的を出発点とする思考の「型」(フレームワーク)をベースに、それを実行に落とし込むための5つの基本動作(認知・判断・行動・予測・学習)を示す。
ページ数 | 360ページ |
価格 | 2,420円 |
発売日 | 2022/3/25 |
著者 | 望月 安迪 |
出版社 | ディスカヴァー・トゥエンティワン |
ISBN-13 | 978-4799328316 |
はじめての目標達成ノート
13万部突破『目標達成ノート』”原田メソッド”の入門編!
あの大谷翔平選手も実践した、目標達成ツール「オープンウィンドウ64」付き!
本書では、9つのワークを通じて、自分自身の目標を設定し、それを達成するための戦略の作り方や、モチベーションを維持するためのヒント、テクニックを学ぶことができます。
さらに、具体的なプロセスをおさえるためのスキルを、60日間で習得できる仕組みになっています。
60日間の実践を通じて、あなたの夢を実現するための力を手に入れましょう。
ページ数 | 168ページ |
価格 | 1,650円 |
発売日 | 2023/9/22 |
著者 | 原田 隆史 |
出版社 | ディスカヴァー・トゥエンティワン |
ISBN-13 | 978-4799329887 |
コメント